ごあいさつ
スカート優勝!5年ぶり2度目です。これも皆様のおかげです。
前回の優勝(10周年)のときの浮かれ切った写真や、私の「ごあいさつ」を読み返して、なんて希望に溢れていたんだろう、と人ごとのように思いました。私の状況も変わり、世の中の状況も変わった今、「2020年からの5年間」というのはやっぱりまだ言葉で説明ができません。一生できないかも。それでも毎日は続きます。「続くのなら続ける」のか「続けるから続く」のかはもはやわからなくなってまいりました。
そうして出来上がったニューアルバムは不思議と突き抜けた、吹っ切れた何かがあるような気がしています。15周年記念アルバム、みたいな性質のアルバムではないのですが、単純に「新しくて」「いいアルバム」ができた、という手応えがあり、このアルバムを少しでも多くの人に聴いてもらいたい、と強く願っています。
それに加えて、アルバムのリリースツアー!そして年末には特別な規模!でのワンマンライヴが!それぞれ決定しました。15年の間でスカートは何が変わったのか、何が変わらなかったのか、というのを1年間を通して観て、聴いてもらいたいと思っております。どうか!どうかお付き合いくださいませ。
澤部渡
PCJA-00182/12inch LP/3,850円(税込)
2025年6月6日(金)
京都・磔磔OPEN 18:00 / START 19:00
2025年6月7日(土)
名古屋・TOKUZOOPEN 17:00 / START 18:00
2025年6月28日(土)
東京・キネマ倶楽部OPEN 17:00 / START 18:00
「トゥー・ドゥリフターズ」はちょっと変わった曲になりました。変わった曲になった経緯があったわけではないのですが、個人的にちょっと思い出深い曲です。
2022年の初頭、スカートはコマーシャル音楽の録音で音響ハウスにいました。音響ハウスといえば憧れのスタジオ。あらゆる名盤がそこで録音されていて、ムーンライダーズのリハーサルの休憩時間に佐藤優介と一緒になって岡田徹さんを質問攻めにしていた時期があったのですが、その時「『アマチュア・アカデミー』は音響ハウスの1st で曲を作りながら録音してたんだよ。1stはロビーが上の階にもあってそこで「Y.B.J.」の大サビを作ったんだ」なんていう話を直接聞いたりもしていました。とにかくバンドマン人生でも「ついにここで録音ができるのか」と胸を躍らせていた日だったのです。この日の録音は普段だったらあまりないことなのですが、一日で録音からトラックダウンまで終わらせるスケジュールでした。
バンドの録音はスムースに終わって、メンバーを送り出し、エンジニアの田中章義氏がミックスを整えている間、私はやることはなにもありません、でも前のスタジオにはレコーディングで使用したグランドピアノがそのまま鎮座していました。私はピアノの前に座り、作曲を始めます。そうしてできたのが「トゥー・ドゥリフターズ」のメロディでした。しかし、私はこれをすぐに形にできる気がしませんでした。メンバーに聞かせることもなく、2022年に発表した『SONGS』も毛色が違う気がする、と、ちょっと置いておくことにしました。なんというか、手に負える気がしなかったのです。
2024年末、メンバーを集めてデモ出しの会議が行われました。スカートとしてこういうことをするのは初めてでしたが、そこに「トゥー・ドゥリフターズ」を持っていきました。みんな困惑しているようでしたが、優介が「ティラノザウルス・レックス(ご存じ、T.Rexの初期)みたいな感じにしたら絶対かっこいいよ。商業性があるかどうかわからないけど、俺ならそうする」と言ったのを真に受けて、翌日にはシマダボーイとデモ制作が始まりました。二人で作ったアシッドフォーク的なデモに佐久間さんがディストーションがギンギンにかかったドラムを入れてくれて、方向性が完全に固まったのでした。実際にスタジオでレコーディングが始まり、なおみちさんのベースはジョン・エントウィッスル的なムードに彩られ、優介のピアノもジェントルかつルードに決まり、歌詞も自分の手の届く範囲のものでいびつに描けてかなり満足していいて、Smooth Ace 重住さんのコーラスも素敵。ボーイが持ってきたサンダードラムには葛西さんがコンタクトマイクを貼り付け、あまり聴いたことない音像に仕上がりました。なんというか、自信作です。